質の高い授業をしている先生は
限られた授業時間を効率的に使おうと
意識していると思います。
体育の時間に準備運動を行なっていない方は
ほとんどいないと思います。
だからこそ、この準備運動の時間を有効に活用することが
質の高い授業を行う大事なポイントです。
あなたの今、行っている準備運動
それでいいですか?
あなたの今、行っている準備運動
意図した目的がありますか?
準備運動と準備体操
そもそも「準備運動」と「準備体操」は違います。
これを混同しないようにしてください。
「屈伸〜1,2,3,4〜」というものは
「準備体操」ですね。
「ラジオ体操」も同じ仲間です。
準備体操を否定するつもりはありません。
準備体操には準備体操の良さがあって
良いものであるから長年活用されています。
ただ、これを何のためにやっているか教師が理解せずに
子供たちにさせているとしたらそれはいけません。
先輩先生がやっていたから?
自分が子供の頃にやっていたから?
これしか知らないから?
できる限り全ての活動を意図して行いたいものです。
複数の選択肢から、できる限りベターな指導法を採用して
行いたいものです。
もしよかったら
先輩先生に「この準備体操、何でやっているんですか?」
と、聞いてみてください。
嫌われても保障はしませんが…。
準備運動(体操)の最大の目的
準備運動の最大の目的は
ケガを防止することでしょう。
そのために何が必要かを考えることが
まずは必要です。
・体を温めること
・関節の可動域を広げること など
他にも、多々挙げられるでしょう。
体を温めるためだったら「鬼ごっこ」でも良いのです。
そぶ先生は、よく準備運動で「鬼遊び」を取り入れます。
今回の本題はこれではないので、深くは説明しません。
準備運動を活用して技能を高める
初めにお話しさせていただいた通り
とにかく時間を有効に活用したいものです。
そこでそぶ先生は、準備運動から
すでに学習を始めていきます。
そこで今回紹介したいのが
「上達セット」というものです。
主運動につながる準備運動「上達セット」
「上達セット」とは
「上達セット」とは、以下のものを目的とした種目を
セット化した準備運動のことです。
・基礎感覚の習得
・主運動につながる部分練習
・主運動で使う用具を使った準備運動
上達セットのメリット
メリットはあげればキリがないですが
より良い上達セットを正しい方法で行えば
短い時間で大きな効果を生みます。
・ドリル学習の代わりとなる部分練習が可能
・前年までに習得しておきたい基礎感覚等の再学習の機会
・運動量を確保した効率的な準備運動
・毎時間(ほぼ)同じ流れで行うため児童の動きがスムーズ
・主体的な学習の土台づくり
・技能ポイント(知識)の習得
・「見る力(観察力)」の高まり
・児童同士の「かかわり」の質の向上 など
具体例と作り方〜「跳び箱運動上達セット」
具体的な実践から「上達セット」の理解を深めていきましょう。
今回は「中学年・跳び箱運動」を題材に
「跳び箱運動上達セット」を見ていくことにします。
セット種目を選ぶ視点①児童の実態を把握する
児童の実態を把握しましょう。
前年までに身につけておきたい技が
どれだけできるのかを中心に見ていくことが望ましいでしょう。
それを参考に「足りていない部分を補う」という視点で
セット種目を選んでいきます。
セット種目を選ぶ視点②技の教材研究
高学年において身につけたい技を分解し
それぞれの部分において、どのような技能ポイントがあり
身に付けなければいけないのかを探ります。
例えば「台上前転」であれば以下のようになります。
技能ポイントの習得を目指したセット種目の作成
まず、先ほどの技を分解して見えた技能ポイントから
児童の実態に適したもの
これは身に付けさせたいと思うものを選びます。
例えば以下のように絞っていきます。
そしてそれを身に付けられるようなセット種目を考えていきます。
難しく考える必要はありません。
例えばそぶ先生は
「膝を柔らかく使った着地」を身に付けさせたいので
『ピタッと着地』と命名し
跳び箱の上から、マットの上に置いたサークルに
着地する種目を設定しました。
また、
「強い踏切」「腰を高く上げる」「正しい着手」
を身に付けさせたいので
『バンバンジャンプ」と命名し
跳び箱に手をついて5回踏切板を
バンバンと踏みしめて腰を上げる種目を作りました。
そぶ先生のセット種目の全てが知りたい人は
ご連絡いただければいつでもご提供します!
作成・実施での注意点
あくまでも準備運動
難しい種目、危険が伴う種目は入れません。
そして
時間を掛けすぎることもいいことではありません。
私は、どんなに時間がかかっても準備も含めて
10分以内では行いたいです。
上達セットの良いところは
毎時間同様の活動なので慣れてくれば
子どもたちの動きはスムーズになってきます。
補強運動の要素を含んだ種目を取り入れてもいい
準備運動のセット化なので
セット種目の中に補強運動を入れたものを入れても良いでしょう。
例えば「壁押し」のような種目を設定し
手首の補強や準備体操の要素を組み込むことも可能です。
運動量を確保する
準備運動の大切な側面として
「体を温める」ことがあります。
ですからそぶ先生は上達セットを
1分×6種目で設定し
6グループに分けて
1分ごとに種目を移動していく方法
を採用しています。
学級の人数や児童の実態によっても違うと思いますので
待ち時間が生まれない方法をできる限り採用したいものです。
少なくともそぶ先生は上達セットで子どもたちに
移動は全て駆け足を徹底しています。
もちろん、「移動は駆け足だろ!」
ではなく、なぜ駆け足なのか(準備運動で体を温めたいから)を
子どもたちに説明し、共通理解をしています。
立ち位置を工夫する
そぶ先生は、いつも全体が見える種目の横に
上達セットの最初から最後までずっといます。
そうすることで、全体の安全確保と共に
1分ごとに全員がその種目に来るので
6分で学級全員に声を掛けることができます。
慣れてくれば、同時に遠くの児童を褒めたり
アドバイスを送ったりすることもできるようになるでしょう。
子どもが楽しく活動できるひと工夫
そぶ先生は上達セットではBGMを掛けます。
賛否やメリットデメリットはあるでしょう。
ただ、跳び箱運動が嫌いな児童が多くマイナスイメージを払拭したい
モチベーションをアップさせたいなどの効果を生み出すために
使うこともあります。
音楽の1分ごとの切れ目を子どもたちが覚えれば
一切の笛なしで移動もできてしまうでしょう。
選曲には気をつけてくださいね。
人気があるからといってスローペースな曲は望ましくありません。
疾走感のあるアップテンポな曲がいいでしょう。
ちなみに私の愛用品(の後継品)です。
先生方が使うには「音量」と「軽さ」が大事です。
軽い=500g程度
音量=20W以上(体育で使うなら)
下の商品は既に生産完了品なので
急いで買わないと在庫限りです。
色を問わないならさらに安く買えます!
最近のは重くて高いものばかりで困ります。
必要な準備体操は必須
とはいえ、上達セットで全てが補えるわけではないことも
理解をしておきましょう。
そぶ先生は、上達セットを行う前に
「首の運動」「手首や肩周りの運動」は必ず行います。
上達セットで「観察力」を養う
OODAループの土台であり
そぶ先生が最も重要であると感じる
「観察力(Observe)」を養う場面としても、
上達セットは非常に有効です。
OODAループについてはこちらの記事を確認!
つまり「知識」の習得です。
座学で知識を習得することも
現代の体育科の授業では有効であるとする
実践が増えてきました。
ただ、この上達セット一つ一つの種目で
何を意識して取り組めばいいか(つまり技能ポイント)を
子どもたちにきちんと理解させ
毎時間、技能ポイントを意識して取り組ませることで
子どもたちには自然と
技能ポイントについての知識が入っていき
学習の中では、そこを意識したり
見ることができるようになります。
これにより「かかわり」の質の向上が期待され
技能向上によりつながってくると考えられます。
もちろん主体的な授業展開も大いに期待できます。
まとめ
上達セットは、
先生の緻密な教材研究により成立するものです。
教材(技)を分析し、細分化することで
作ることができます。
これを子どもたちと共有することは
これからの体育に求められている
知識の習得にもつながり
これは、
技能の習得
主体的な学習
かかわりの質の向上
そしてもちろん
安全面の確保
にも効果的です。
一石二鳥どころか
一石五鳥くらいの価値があります。
ぜひ実践してみてください!
教材分析をいろいろな先生としてみることも
非常に楽しいことです。
が、なかなか時間のない中です。
最後まで読んでくれたあなた。
そぶ先生はいつでも相談に乗りますので
遠慮なくお問合せください!
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