先生を英語で言うと“teacher”
つまり“teach”が「教える」という意味なので
先生=教える人
ということになります。
しかし、時代は変化し、
今や、教師は「教える人」ではなくなってきています。
これは、親も同じです。
教えるなということではありません。
正しく言うと「教えるだけではいけない」ということです。
「教える」ということも重要な要素です。
ティーチングとコーチング
「ティーチング」と「コーチング」というものがあります。
まずは、それぞれについてどのようなものか見ていきます。
ティーチング | コーチング | |
定義 | 知らない知識・スキルを教える | 対話を通して気づきを与え自発的な行動を促す |
対象者 | どうやっていいかわからない人 | やり方は知っているが次の一歩が踏めない人 |
関わり方 | 答えを「伝える」 | 答えを「引き出す」 |
関係性 | 指導する人→指導される人 《一方通行》 | 指導する人⇆指導される人 《双方向》 |
指導者の姿勢 | 手順などの言語化・明確化 相手に分かりやすく伝える姿勢 | 質問力・傾聴力 相手を理解する姿勢 |
ティーチングのメリット・デメリット
テーチングは、その名の通り
答えを伝えることを言います。
どうやっていいか分からない子に、
手順を丁寧に示しながら伝えていきます。
例えば、割り算の筆算が分からない子(たち)に、
まず、「 」
次に、「 」
最後に、「 」
というように手順を示していきながら、
丁寧に進めていきます。
すると、割り算の筆算ができるようになっていきます。
ティーチングのメリットは、
スピーディーに解決でき、結果に到達しやすいことが挙げられます。
簡単に言えば「教えてしまえば楽」ということです。
そして、誰でも一定の効果が見込めます。
勉強が苦手な子でも、成果が見込めるでしょう。
ティーチングのデメリットは、
再現性が低いことが挙げられます。
与えられているものを忠実にやっているだけなので、
似たような場面においてそれを活用したり応用したりすることは苦手です。
これを別の視点から言うと、自立できない、とも言えるでしょう。
コーチングのメリット・デメリット
コーチングは、相手に気づきや自ら考え行動するきっかけを与え、
目標達成や問題解決のサポートをすることを言います。
ある説によると、「コーチ(coach)」という言葉の由来は「馬車」だそうです。
そこから考えると、コーチングとは、
「大切な人を、その人が望む場所へ送り届けてあげること」と言えるでしょう。
コーチングのメリットは、以下のことが挙げられるでしょう。
1.相手の潜在能力や特性など、可能性を引き出せる
2.自ら考え行動する力を身につけさせることができる
3.自分で決めることによりモチベーションの維持・向上が期待できる
4.自己肯定感が高まる
非常に高次元の能力が育成されることが期待できます。
そして、これらが身につくことにより、気付きが多く生まれ
再現性が高まります。
ティーチングのデメリットは、
時間がかかる(即効性がない)ことです。
指導者には根気強さが必要でしょう。
そもそも、ティーチングよりも指導者の高いスキルが求められます。
また、相手や場面を間違えると効果がない、または逆効果となってしまいます。
全くスキルのない子(ども達)に
コーチングをしても全く効果が出ません。
コーチングの考え方 Guided Discovery
テーチングだけでなく、コーチングの大切さも分かっていただいたと思うので
コーチングの基本的な考え方を押さえておきましょう。
主役は子ども
主役は子どもです。だから、子どもの声を聞き、その子がどう考え、どうなりたいのかに
きちんと寄り添っていく姿勢が必要です。あなたは脇役です。
Guided Discovery
「発見を導き出す・引き出す」という意味です。指導者にとって大切なことは
「×解決法を与える」ことではなく
「◎子ども自ら解決法を見出す力を身につけさせる」ことです。
簡単に言うと
「×テストで100点を取るために解き方を教える」ことではなく
「◎テストで100点を取るためにどうしたら良いかを考える力を身につけさせること」です。
そのためには「気づきを促す」ことが必要です。
気づきを促すために
★環境設定(場、教材、人数など…)の工夫
★投げかけの言葉、発問、価値付け
★働きかけ
を考えてみるとよいでしょう。
「働きかけ」においては
★トライ&エラーをさせる
⇨エラーも必要である。失敗を見守る勇気が必要で、その後、いい方向に導くことも必要。
★良い判断を助ける
★良い行動基準を示す
が大切でしょう。
最近は、子どもが失敗しないように、事前に指導を多く入れる姿が先生にも親にも
よく見られます。
その気持ちは痛いほど理解できますが、失敗も非常に重要です。
そして失敗させたままでは、意味がないので
その後の適切なフォローが指導者の重要な行動となります。
ティーチングとコーチングのより良い使い方
まずはティーチングから入りましょう。
ティーチング(教える)
考えための材料がなければ、自立したり主体性は生まれたりはしません。
「自由に自分でやってみなさい」は知識があるからできること。
知識のない、主体的な活動は、「丸投げ」と同じである。
↓
コーチング(導く・引き出す)
★まずはやってみさせる。やることを簡潔に伝え、チャレンジさせる。
⇨行動を観察し、現象を具体的に把握する。
⇨その子の行動の意図や考えをよく聞き、理解する、共感する。チャレンジを認める。
※(指導者にとっての)正解を押し付けることのないように注意したい!
★具体的に褒める、評価する
⇨褒めることで、『いい行動』の基準を(暗に)示す
⇨次もやろうと意欲が湧く
※課題を伝え、修正させることも良いがそれよりも上記のものが望ましい。
授業で使えるコーチングの技(シンクロとフリーズ)
コーチングで私が非常に重要だと考えているものが
リアルタイムでの価値付けです。
では、どのタイミングでどのように価値付けをしていったらいいのでしょう。
2種類の方法を紹介します。
シンクロコーチング
子ども達の活動を止めずに、活動に合わせてコーチングしていく。
例えば、体育科で、バスケットボールの授業をしています。
ゲームをやっている時に、ゲームは止めずにそのゲームに合わせて、
的確なコーチングをしていきます。
【ポイント】
①タイミングが重要!
「今」を見逃さない目が大切です。活動が止まっていないので、
状況は刻一刻と変わっていきます。よく観察することが大切です。
②具体的な言葉で
具体性に欠けると、ただ大切な言葉を連呼しているだけになります。
「子ども達が考えるためのポイント」や「ヒント」を与えていきたいですね。
(実は、これって先生方は教材研究でやっているんですよね。)
フリーズ
子ども達の活動を止めて、解決する能力を養うためのコーチングをしていく。
課題が見つかった時に、活動を止めて、その場面や課題を使って全体に説明し、発問をしながら解決策を見つけていきます。
机間指導をしていて、困っている子や“良い”間違いをしている子を取り上げて、みんなで考えることもそうでしょう。
これのメリットは
①場面を再現することで、全体で情報が整理、共有できる。
②困っている子、間違えている子の意図や経緯などを聞くことができる。
③他の方法やよりベターな方法について、問いかけることができる。
④子どもたちで考え、自ら導き出すことを促せる。
このように答えを与えるのではなく解決策を導くことで
応用する力につながっていきます。
ただ、注意点があります。
「フリーズ」を多用すると、流れが悪くなって、つまらなくなっていきます。
授業において「テンポ」というのは非常に重要な要素の一つです。
そして、場合によっては止めることで、活動量が減ることになります。
体育がそのいい例です。
そして止めすぎると子ども達のモチベーションや集中力が落ちていきます。
つまり、「シンクロ」と「フリーズ」を
場面に応じて上手に使い分けていくこと
が重要です。
まとめ
ティーチングとコーチングを上手に使いこなせると
子ども達はぐんぐん成長し、
「できる子」になります。
改めてですが、「できる子」は100点を取れる子ではありません。
自分で考え、自分で課題を解決していける子です。
そのためには、先生や親の適切なコーチングが非常に重要です。
ここで語ったのはコーチングのほんの一部です。
ぜひご自身でもたくさん勉強して、
コーチング引き出しを増やしていってください!
コーチングについても数多くの書籍が出版されています。
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学び続けることが、間違いなく子供のためになる!
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