来週、学力テストなんだってさ〜
(まずい…、そうだ!あの手があった)
ねえねえ、じゃあ今度のテストで100点取ったら、お小遣いあげるわ〜
やったー‼︎頑張って勉強しよー‼︎
(よしよし…作戦成功っと…)
こんにちは。そぶ先生です。
今回は、世のパパママ(先生も?)がよく使っているであろう、いわゆる「ニンジン作戦」についての記事です。
勉強をやらせたい時、習い事頑張らせたい時、行きたがらない幼稚園に行かせたい時…
あらゆる“ニンジン”を駆使して、やらせることありますよね。
お小遣い、おもちゃ、ゲーム…
「お買い物付いてきてほしいんだけど、頑張ったらお昼にあなたが好きなアレ食べに行ってあげるから」なんてのもありました。
学校でもありますね。宿題を点数制にして、100点たまったらシール上げるとか、給食おかわり権上げる!とかしている先生もいるようです。面白いですね。子供たちも楽しそうです!
でも、本当にこれやっていいのかな?と悩んでいるパパママの相談が多く聞かれました。
これっていいの?
について今日は解説します。
動機付け とは
いわゆる“ニンジン作戦”とは、
良い成績を収めた場合に報酬を与えると事前に宣言することによって
モチベーションを高めようとするやり方
大人の世界でもありますよね。
このタスクを終えれば、ボーナスがもらえる!とか
ここまで残業頑張ったら美味しいデザート買って帰ろう!とか
今週末にディズニーランドに行くから今週仕事頑張れる!とか
つまり、
それをやるモチベーションは何なのか
ということなんです。
子供も同じです。
テストのために勉強を頑張るモチベーションは何なのか。それはお小遣いのため。
行きたくもないピアノのレッスンに行くモチベーションは何なのか。
行けば好きなもの買ってもらえるから。
これが動機です。
目的や目標などのある要因によって行動をおこし、それを持続させる心理的過程を動機づけ
と言います。
外発的動機づけ と 内発的動機づけ
動機づけには2つの種類があります。
❶ 外発的動機づけ
外発的動機づけとは、報酬や評価、罰則や懲罰といった、外部からの働きかけによる動機づけを意味する言葉です。
よって、ニンジン作戦はこの外発的動機づけに当たります。
「ママに叱られるからやる」これも、実は外発的動機づけです。
「報酬が欲しい」「罰を受けたくない」などは、ほとんどの人のモチベーションにつながるため、短期間で効果が表れます。
❷ 内発的動機づけ
内発的動機づけとは、物事に対する強い興味や探求心など、人の内面的な要因によって生まれる動機づけを意味する言葉です。
好きでやっている趣味は内発的動機づけです。やりがいや達成感などもそうです。
外発的動機づけと内発的動機づけのメリット・デメリット
答えから行くと、どちらにもメリットがあります。
そして、どちらにもデメリットがあります。
ということは、状況に応じて使い分けていく必要があります。
それではそれぞれのメリット・デメリットを見ていきます。
外発的動機づけ
【メリット】
○短期間で効果が現れる
○ほとんどの子に効果が出る
【デメリット】
▲効果が長続きしない
▲必要以上の結果を得られにくい
▲コストがかかる
▲自主性や創造性を妨げる可能性がある
▲そのものの価値や貢献度を高めにくい
内発的動機づけ
【メリット】
○高い集中力を発揮しやすい
○進んで行動し、学ぼうとする
○期待していた以上の結果を得られることがある
○創造力が高まる
○コストがかからない
○効果が持続しやすい
【デメリット】
▲時間がかかる
▲子供によって動機づけの要素が千差万別
こう見ると、内発的動機づけの方が良い方法に見えますが、
外発的動機づけにもメリットがあるため、効果的に使っていくことが良いでしょう。
エンハンシング効果とアンダーマイニング効果
だんだん動機づけについて理解できてきたところで
これらを使っていく注意点をみなさんにお伝えしたいと思います。
エンハンシング効果
外発的動機づけがきっかけで、内発的動機づけが高まる現象をエンハンシング効果と言います。
「そんなことあるの?」「よく分からない」という人のために具体的な例を見てみましょう。
M美さん(小学校3年生)ママの場合
ピアノのレッスンにどうしても行きたがらないM美。そぶ先生の言う通り「1ヶ月頑張ったら、あなたの好きなキャラクターの文房具を買ってあげるわ」と外発的動機づけでピアノのレッスンに何とか行かせました。ピアノの先生には、M美のこととにかく褒めてくださいとお願いし、私も帰ってきたらとにかく褒めました。1か月、2か月…と大好きな文房具をゲットしていくM美。これで大丈夫なのかなと思ったのですが、だんだんと変化が出てきました。初めて3か月目のある日、M美はレッスン終わりに「ママ、弾けるようになったよ!聞いて!」と言います。ついには、6か月目「ママ、ピアノ楽しい!」と言うようになりました。そぶ先生ありがとうございます!ちなみに、ご褒美の文房具は7か月目からあげていません。というか、M美が何も言わなくなりました。これは内緒です。
S太郎くん(小学校4年生)ママの場合
漢字がとっても苦手なS太郎。何とかしたいと思っていましたが、私は仕事が忙しく、一緒に付いて教えてあげる時間は取れません。2年生の時にそぶ先生に相談して、今やっている学校の宿題に注目することにしました。学校では漢字やひらがなを84字書く宿題が時々出るのですが、我が家ではこれを土日を含めて毎日やることにしました。当然、最初はS太郎は嫌々でしたが、S太郎と相談して我が家では1週間毎日やったら100円というお小遣い制を採用しました。外発的動機づけのデメリットで、成長するにつれてだんだん100円ではやらなくなってその都度そぶ先生と相談をしながら続けていきました。
結果的に今4年生ですが、毎日やることが当たり前になっています。4年生になってからは学校の漢字テストは毎回満点。先生にも友達にも認められることが多いようで自分の取り柄と認識しているようです。学習習慣も身に付き、自分から学習に取り組んでくれるのでそれも働く私にとってはありがたいです。
どちらも、「褒められたい」「ご褒美がほしい」といった理由で、習い事に行ったり勉強をしていた子が徐々に、その行動自体に楽しさややりがいを感じるようになっていった例です。
時間がかかりますが、外発的動機づけから内発的動機づけにつなげていくことも一つの方法です。
この2人のママが上手くいったのにはある秘密があります。
それは、上手に「褒めた」ことです。
これについては、別記事で説明することにします。
アンダーマイニング効果
エンハンシング効果とは全く対照的なのが、アンダーマイニング効果です。
アンダーマイニング効果とは、内発的動機付けされている事柄が、外発的動機付けに書き換えられてしまうことです。
サッカーが大好きな子に「今日の試合で点を決めたらご褒美をあげる」と予告し、点を決めた子に実際にご褒美を与えます。すると、その子は、その後、ご褒美がもらえない場では、以前は抱いていた「サッカーが好き」という内発的動機が低下してしまいます。
つまり、安易に、褒める=ご褒美をあげる とすることは危険だということです。
褒め方については、こちらで詳しく説明しています。
まとめ
内発的動機づけ・外発的動機づけそれぞれに良さがあります。
内発的動機づけと外発的動機づけを上手に使い分けていくことが大切です。
まずは、目の前の子供をよく見つめ、何に興味があるのか、どんなことが好きなのかを見てあげます。
大人の「やらせたい」を優先してはいけません。子供の「やりたい」を優先できるといいですね。
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