現代っ子を象徴する表れとして
「もういや!」
「やーめた!」
といった、すぐあきらめてしまうような姿が
思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。
しかしながら、私を含め大人も
粘り強く取り組んだり
強い信念のもと、継続的に続けたりすることは
簡単なことではありません。
逆に、強い信念や情熱を持ち
目標に向かって努力し続ける人は
かっこよく見え、
「すごいな」「ああなりたいな」と思うものです。
そして成功している人の多くは
このような心を持っているものです。
今回は、そんな「やり抜く力」について
30万部突破のベストセラー本をもとに、
やり抜く力「grit(グリット)」について
紹介していきたいと思います。
やり抜く力「grit(グリット)」とは
参考著書の著者であるダックワース氏が提唱した
「grit」は、日本語では「やり抜く力」と定義されています。
以下の4つの頭文字を取ってそう呼ばれています。
guts(ガッツ)
resilience(レジリエンス)
initiative(イニシアチブ)
tenacity(テナシティ)
guts(ガッツ)
guts(ガッツ)とは、よく使われる言葉ですが
「困難な状況に立ち向かう力」のことです。
例えば、難易度が高い業務や普段とは異なる業務や苦手な業務を任されたとしても、逃げずにチャレンジしようとする人や、様々な困難に立ち向かい続けられる人はguts(ガッツ)が高いと言えます。
resilience(レジリエンス)
「回復力」や「立ち直る力」と直訳できますが、resilience(レジリエンス)は、「失敗しても最後まであきらめずに粘り強く続ける力」のことです。
当然ですが、何事も成功だけでなく失敗することも多くあります。そのため、失敗してもあきらめず
何度でも挑戦する粘り強さを持たないといけません。失敗しても立ち直って成功するまでやり続けられる人はresilience(レジリエンス)が高いと言えます。
initiative(イニシアチブ)
Initiative(イニシアチブ)とは、「自ら目標を見つけて取り組む自発性」のことです。
「与えられた仕事」「やらされている」という受け身の姿勢ではなく、自ら行動することができる人は、initiative(イニシアチブ)が高いと言えます。
tenacity(テナシティ)
tenacity(テナシティ)は、「最後までやり遂げる力」のことを指します。直訳すると「執念」「粘り強さ」ともなります。
難しい物事を避けたり、失敗したらすぐにあきらめたりしてしまう子が最近は多いように感じますが、
それでは成長できませんし、それに対してもやもやしている親御さんや先生も多いかと思います。
困難な物事でも放棄しない人はtenacity(テナシティ)が高いと言えます。
grit(やり抜く力)の例
ある人が、教会を建てているレンガ職人3人に対し「何をしているのですか?」と問い掛けます。
すると、三者三様の答えが返ってきます。
1人目の職人「レンガを積んでいるんだ!」
2人目の職人「教会をつくっているんだ!」
3人目の職人「歴史に残る大聖堂をつくっているんだ!」
同じ仕事をしていても、
その仕事に大きな意義(やりがい)が
感じられるかどうかは人によって異なります。
1人目の職人にとって、
レンガ積みは単なる「仕事」を意味します。
達成感・やりがいなどは生きていくために必要ないと、ただ作業するだけの無機質な労働者になってしまっています。
2人目の職人にとって、
レンガ積みは「目標」「キャリア」を意味します。
目の前に目標がある内は、その目標に向かって前向きに没頭することもでき、一時的には充実感や達成感を味わえます。
しかし、その先にある目的(あるべき姿)がないと、次の目標を失い、精神的に疲弊・孤独を感じ、燃え尽き症候群となってしまう可能性があります。
3人目の職人にとって、
レンガ積みは「天職」を意味します。
仕事が面白いことはもちろん、他の人々にも役立つと思えるような目的意識を持っています。
仕事の捉え方が、やり抜く力に影響し、その後の人生や仕事に対する満足感・幸福感の決定的な違いにもつながります。
著者ダックワース氏も、成功するために大切なことは「才能よりも情熱と粘り強さ、すなわちやり抜く力」であると結論づけており、自分の職業を「天職」だと感じている人ほど、やり抜く力が強いと述べています。
これは子供たちにも置き換えることができ、「天職」と感じるのは難しいですが、今やっていることに対してどのような思いで取り組んでいるかが非常に重要だといえます。
grit(やり抜く力)が注目されている理由
gritを提唱した心理学者のダックワース氏は、「人生において成功の鍵を握っている能力とは何か」
という研究に取り組みました。
コンサルティングファームを経て教師になったダックワース氏は、IQが高くても成績が良いとは限らないこと、IQが低くてもgrit(やり抜く力)があれば優秀な成績を収めている生徒がいることに気が付きました。
そこで成功している人の共通点について、
専門的な調査と研究を行った結果、
成功のために必要な要素として、
「何事にも諦めずに長期間忍耐強くやり抜く能力」が大切だというgrit理論にたどり着きました。
grit理論が特に注目されている理由は、
努力や継続の重要性が科学的根拠を持って述べられているからです。
つまり昭和的な「根性論」とは大きく異なります。
成功するかどうかは、生まれ持った才能や環境によってのみ決まるのではなく、
grit=やり抜く力が重要であり、
それは大人になってからもトレーニングによって後天的に伸ばすことが可能だと、
ダックワース氏は提唱しています。
事実、成功を収めている経営者や有名人、スポーツ選手などの多くが努力を積み重ねる大切さについて語っています。
ただ、これは「苦しいことを根性で乗り越えろ」と言うメッセージではないのです。
「やり抜く」能力(技術)が備わっている
その能力を身に付けたいと言うことなのです。
grit(やり抜く力)の測定方法
ダックワース氏が米国陸軍士官学校(ウェストポイント)で実施した調査の中で開発したというのが
「グリット・スケール」です。
以下の10個の項目について、5段階で自分が該当すると思うところに丸をつけて、そこに記載されている点数を合計します。
その数字を10で割った数字がグリット・スコアとなり、スコアが高いほど「やり抜く力がきわめて高い」となります。
1,000人のgrit調査での平均値は、3.21で
アメリカ人の平均は3.8だそうです。
ちなみに私は3.0でした。
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grit(やり抜く力)の伸ばし方
❶少し高めの目標や課題 ー課題の設定ー
gritを伸ばすために最も大切なのは、
成長思考をもたせることです。
自分の能力に限界を決めるのではなく、
常に努力によって能力は向上するというマインドを経験を通して学ぶ必要があります。
そのためには筋肉を鍛えるように脳を鍛えていく必要があり、新たな課題を与えることで脳を成長させることができるのです。
ただ、この課題設定が非常にセンシティブで重要な部分です。
簡単すぎる課題では全く意味がないどころか
意欲を低下させてしまします。
逆に、難しすぎる課題でも意欲を低下させ、
自己肯定感までも低下させてしまう要因となってしまいます。
子供にとって少し高めの目標、頑張れば手が届きそうな課題を設定してあげることが重要です。
また、具体的な数値や期間を設定することで
目標達成が明確になり、次の目標も立てやすくなります。
・個々の能力を把握し、少し高めの課題を設定する。
・難しすぎる課題は逆効果となるので注意。
・目標には具体的な数値や期間を明示する。
❷小さな成功体験 ー指導者の価値付けー
❶でも述べたように、少し高めの目標を設定し、
それをクリアするなど、小さな成功体験を積み重ねていくことが大切です。
すると、「自分にもできる」という自己肯定感や自信が育まれて、
それが次の新しい挑戦につながり、
困難を乗り越えていける粘り強さにつながっていきます。
その時に、指導者の価値付けが非常に重要になります。
小さな成功だけでは子供たちは
「まぁこんなこと当たり前か」と考えてしまいがちです。
ただ、この小さな成功を見逃さず
リアルタイムで大げさに価値付けてあげることが重要です。
・子供の小さな成功を見逃さない。
・どんな小さなことでも大げさに褒める。
・その場で、具体的に、褒める。
❸楽しんで取り組めるもの ー動機づけー
新しいことにチャレンジしてみましょう。
誰でも新たな物事を行うのには勇気が入ります。
子供たちも新たな場所へ行くのは気が引けるものです。
たとえ大変であっても楽しめることであれば
情熱を持って打ち込むことができ、
ポジティブな気持ちでgritを鍛えていくことができます。
ですから、習い事をさせるときも
「親がさせたいこと」ではなく
「子供がやりたい」ことであることが極めて重要です。
そうでなければ、いくら頑張っても
「やらされている」という思いは消えずに
どれだけスキルが高まっても
スキルが高いだけになってしまいます。
子供がやりたいもの(好きなこと・夢中になれそうなもの)にチャレンジさせる。
↓動機づけについてはこちらで詳しく説明しています↓
❹gritが高い人の周りに ー環境設定ー
人は、自分が所属する集団から影響を受けやすいものです。
gritが強い人たちの近くにいることで、
その人の考え方や行動から良い影響を受けたり、
また、目標の立て方や取り組み方、姿勢など
具体的なノウハウを吸収して取り入れたりできることもあります。
これは子供でも同じことが言えますし
子供だからこそ、小さなうちからこのような環境に身を置きたいものです。
学校(学級)はもちろんですが
保護者の皆さんにこれを変えることは中々難しいでしょう。
保護者の皆さんにできる環境設定は
「家庭」と「放課後(学童保育・放課後児童クラブ)」です。
家庭では保護者の皆さんの考え方が大きく影響します。
前向きにいきましょう!
実が学校よりも長い時間を過ごす「放課後」
学童保育・放課後児童クラブにはお金をかけてでもいい環境に身を置きたいものです。
「家庭」と「学童保育・放課後児童クラブ」の環境の質を高める。
環境の影響は非常に大きい!
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まとめ
我が子には少しでもいい未来を歩んでほしいと願うのが親というものです。
だからこそ、習い事をさせたり、勉強しなさいと言ったりするのです。
「才能があるから成功する」
「才能がないから成功できない」
と考えるのは間違っています。
成功者の多くは、長い時間をかけて努力を積み重ね、
何度も失敗や困難を乗り越え、粘り強く続けてきた結果です。
こうした「やり抜く力」が強い人ほど、
成功の可能性が高いのです。
ぜひこのgrit(やり抜く力)を子供のうちから育てていきましょう!
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